ピコドン、ロカマドゥール等のシェーヴルチーズや、ペコリーノ ロマーノ、ケソ マンチェゴ等のブルビチーズは、チーズ専門店以外ではあまり見かけませんが、チーズ通には絶大な人気です。ワインとの相性はとてもよく、若いものは白ワイン、熟成が進むにつれ赤ワインを合わせて楽しめます。
目次
シェーヴル やブルビ チーズとワインの基本ペアリング
同郷のチーズとワインを合わせるのは基本ですが、若いチーズにいは若いワイン、熟成したチーズには熟成したワインを合わせることも重要です。
ヤギ乳のチーズは、フランスだとロワール地方で種類も数も豊富につくられています。また、山羊も羊も牛に比べると草を食べる量が少ないため、乾燥した地域でも飼育しやすく、南西地方や中央部よりも南の地域でもよく見かけます。
熟成の短いフレッシュタイプには、さっぱりとキレの良い白ワインを。熟成が進むにつれ、厚みのある白、ロワールやボジョレーなどの軽やかな赤を合わせるのもよいでしょう。
シェーヴルチーズ、ブルビチーズとは|もっと詳しく
「シェーヴル」(シェーブルとも書かれます)はフランス語で雌ヤギのこと。つまり、チーズの世界でシェーヴルとはヤギのミルクでつくられたチーズのことです。同様に雌の羊を意味する「ブルビ(イタリア語ではペコリーノ)」は、羊乳のチーズを指します。
シェーヴルは、熟成度合いによって味わいが大きく違います。フレッシュなものは、爽やかな酸味を伴い、かつ脂肪分も牛乳より高いため濃厚さもあり、現地フランスではパンにたっぷりと塗って食べます。
熟成が進むにつれ、水分が抜けて独特の風味や塩分を感じるようになります。フランスでは、シェーヴル専門に取り扱うチーズスタンドもあり、熟成の段階が違うシェーヴルが並び、好みの熟成度合いのものを選んで購入する姿がよく見られます。
形も円筒状、四角錐、長方形、丸餅のようなものなどさまざまです。周りに灰をまぶして、表面がグレーになっているものもよく見かけますが、味には大きく影響していないようです。
羊のミルクを使ったブルビ(ペコリーノ)は、ピレネー山脈付近やスペイン、イタリア、ギリシャなどの地中海を取り巻く国々でよくつくられています。セミハードやハードタイプのものが中心ですが、ギリシャのフェタチーズのようにフレッシュさを感じるタイプのものもあります。
代表的なAOPシェーヴル(山羊乳)チーズ
- サントモール ド トゥーレーヌ(フランス ロワール地方)
- セル=シュール=シェール(フランス ロワール地方)
- ヴァランセ(フランス ロワール地方)
- ピコドン(フランス ドローム県、アルデーシュ県、ガール県、ヴォークリューズ県など)
- ロカマドゥール(フランス ケルシー地方)
代表的なAOPブルビ(羊乳)チーズ
- オッソー イラティ(フランス ピレネー地方)
- ペコリーノ ロマーノ(イタリア ラツィオ州、サルデーニャ州など)
- ペコリーノ トスカーノ(イタリア トスカーナ州など)
- ペコリーノ シチリアーノ(イタリア シチリア州)
- ケソ マンチェゴ(スペイン ラ・マンチャ地方)
- イディアサバル(スペイン バスク地方)
- フェタ(ギリシャ マケドニア地方)
シェーヴル チーズに合う白ワイン
熟成の短いフレッシュなシェーヴルには
熟成の短いフレッシュなシェーヴルは、クリーミーさはありつつも、全体的な印象は優しいヨーグルトのような酸味もあって爽やか。フレッシュさを感じる白ワインがピッタリです。
少し熟成したシェーヴルには
少し表皮がしまってきた中程度の熟成には、少し厚みのある白ワインが合います。
シェーヴル(ヤギ乳)に合う赤ワイン
少し熟成が進んだタイプなら、赤ワインを合わせることもできます。軽やかで酸もきれいなロワール、ブルゴーニュなどがおすすめ。
ブルビチーズ(羊乳)に合う白ワイン
熟成がそこまで進んでいない食べ頃のブルビには、同郷の白がおすすめ。
ハードなブルビチーズ(羊乳)に合う白ワイン
スペインのバルでは、ずらりと並ぶタパスの中に、細くカットしたケソ マンチェゴがオリーブオイルに漬けて置かれています。これは切り口から乾燥・酸化するのをオリーブオイルの膜が防いでくれるため。オリーブオイルが高価な日本では、ジップロック袋にオリーブオイルを入れて空気を抜けば少量のオイルでもチーズの新鮮さを保存できて便利です。
スペインのケソ マンチェゴのように熟成が進んだハードタイプのチーズには、熟成したシェリータイプワインがおすすめです。
ブルビチーズ(羊乳)に合う赤ワイン
熟成が進んで旨味の増してきたマンチェゴやペコリーノ ロマーノには、タンニンが強すぎない、果実味のある赤を合わせてもいいでしょう。
爽やかな酸味とクリーミーさが秀逸のシェーヴルは、若いうちは同じくフレッシュさを感じる白、熟成に合わせて、ワインの強さも変えていくと最高のマリアージュが楽しめます。
セミハードやハードタイプのブルビ(ペコリーノ)にも、同郷の白か強すぎない赤でまずは楽しんでみましょう。
またスペインのバルのように、マンチェゴにオリーブオイルを垂らして、シェリーと合わせたら日本にいることを忘れそう。
ヤギや羊のチーズでも日本人に食べやすいタイプのものも多いです。よい状態のものを揃えているチーズ店で探して、ワインとの組み合わせを楽しんでみてくださいね。