強烈な匂いとは裏腹に、食べてみるとむっちりとした食感で食べやすく、味わい深いウォッシュチーズ。ブランデーやグラッパから甘口、白、軽い赤と合わせるワインも多岐に渡ります。
目次
ウォッシュチーズとワインの基本ペアリング
チーズとワインの鉄則、チーズの産地とワインの産地を合わせるのはウォッシュチーズも同じ。
匂いが強いウォッシュチーズだからこそ、ぶどうの搾りかすを蒸留して造られるお酒、マールやグラッパ、また白ワインを蒸留して造るブランデーなど蒸留酒を合わせてみるのが1つ。
また、匂いや塩分と対照的な組み合わせとして、ヴァンダンジュ・タルディヴや貴腐などの甘口ワイン、糖がしっかりのった年のアルザスのグランクリュなども好相性。
チーズ自体の熟成が若かったり、チーズの個性がそこまで強くないウォッシュには、地元のしっかり目の白ワインや軽めの赤ワインを合わせるのもよいでしょう。
ウォッシュチーズとは|もっと詳しく
名前の通り、チーズを熟成させる過程でチーズの表面を塩水や、酒類を含んだ塩水で定期的に洗ってつくられたチーズです。
塩水の効果によりカビの繁殖が防げますが、一方で空気中にある湿り気を好むリネンス菌がチーズの表面を覆います。ウォッシュチーズ特有の風味や匂いはこのリネンス菌によるものです。
この独特で強い匂いに苦手意識を持つ人もいます。しかし実は食べてみるともっちりとした食感に程よい塩味と旨味があり、「思っていたよりいける!」と、虜になってしまう人も多いようです。
日本で入手できるものは限られますが、チーズ専門店などでは多数扱うようになってきました。選択肢があり、熟成の状態など確認しながら購入できるので、できたらチーズ専門店で選ぶと安心でしょう。
ウォッシュタイプのチーズはフランス産が圧倒的に多く、フランス以外ではイタリア、スイス、ドイツやベルギーなどでも少し見られます。スペインでは赤ワインで表皮を洗って熟成させる山羊乳のチーズなどもあります。
代表的なAOPウォッシュチーズ
- マンステール(フランス アルザス地方、牛乳)
- マロワール(フランス 北部ベルギーの国境近く、牛乳)
- エポワス(フランス ブルゴーニュ地方、牛乳)
- モンドール(フランス ドゥー県の標高700m以上の指定村落、牛乳)
- タレッジョ(イタリア ピエモンテ州、ロンバルディア州、ヴェネト州の各一部の地域、牛乳)
- ヴァシュランモンドール(スイス ヴォー州の一部の地域、牛乳)
AOP認可外で日本で見かけるウォッシュチーズ
- ピエダングロワ(フランス、牛乳)
ウォッシュチーズに合う蒸留酒
グラッパやコニャック、アルマニャックなど、蒸留酒のアルコールの強さと香りが、ウォッシュチーズの特有の風味を包み込んでくれます。まさに沖縄料理で豆腐餻(豆腐よう)に泡盛を合わせる感覚です。
ウォッシュチーズに合う甘口ワイン
パンチの効いたウォッシュチーズには、トロッとした甘口ワインを合わせると止まらなくなる美味しさ。ブルゴーニュを代表するウォッシュチーズ、エポワスにはぜひソーテルヌを合わせてみて。
それぞれのウォッシュチーズに合うワイン
アルザスでつくられるマンステールには、やはりアルザスのワインを。特にゲヴェルツトラミネールとピノグリがお薦めです。
ワイン産地ではない場所でつくられるマロワールには、クラフト ビールがお薦め。
秋になったら販売が開始されるフランスのモンドールには、ボジョレーをぜひ。
イタリアを代表する、ウォッシュの手始めにも親しみやすいタレッジョにはピノグリージョはどうでしょう。
強めの匂いのせいで食べず嫌いな人が多いのがこのウォッシュチーズ。ところが意外と食感はもっちりとソフトで、食べやすいものも多いのです。匂いが苦手な人はまず蒸留酒と試してみてください。印象が大きく変わることでしょう。
甘口ワインと合わせれば至福の無限ループへ。同じ土地の赤や白と合わせれば、いつでも安定の美味しさを追求できますよ。
ワインだけでなく、ビールや蒸留酒ともマリアージュが愉しめるウォッシュチーズ。お気に入りの組み合わせをぜひ見つけてみてください。