春の楽しみの1つ筍。筍ごはんに若竹煮と和食の食べ方はもちろんのこと、シンプルなソテーも筍そのものの風味を堪能できてお勧めです。油を使うこともあり、ワインともよく合います。
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筍のソテーとワインの基本ペアリング
旬の時期の筍は、掘り立てをすぐに下処理すれば刺身でも食べられますが、産地でない場合の生の筍は米糠と一緒にゆがく下処理がポイント。春の山菜同様にえぐみがあるのが特徴です。スライスして、オリーブオイルや植物油でそのままソテーしたり、軽く片栗粉をまぶしてソテーすればボリュームも加わります。塩で筍そのものの味わいを満喫するもよし、おかずになるように甘辛く照り焼きのように仕上げるのもよし。山椒や柚子胡椒を添えるとまた違った風味が加わるのでお勧めです。
シンプルに塩で味わうなら、余韻に少しビターな印象の残る白ワインはどうでしょう。筍のもつえぐみにも寄り添います。柚子胡椒や山椒など少しスパイスやアクセントがある味わいなら、まろやかなタイプの白ワインを合わせてみるのもいいですね。照り焼き風に仕上げるなら、軽めの赤ワインもお勧めです。渋みや果実味が主張すると筍の味わいを損なうので気をつけてください。
筍のソテーとワインのマリアージュ
オリーブオイルと塩の場合は余韻にビターな感覚が残る白ワイン
和のイメージの筍ですが、オリーブオイルとの相性も抜群。良い焼き色をつけて、美味しい塩をパラリと降るだけでご馳走に。心地よい酸味と軽く苦味を感じる余韻が筍とのえぐみを優しく覆ってくれます。
柚子胡椒や山椒などひと味加えるなら、まろやかな白ワイン
シンプルなソテーに山椒の粉を少し加えたり、柚子胡椒を添えたりすると香りや味わいに変化が現れます。スパイシーさを包むまろやかな印象を持つ白ワインはいかがでしょう。
照り焼き風の味付けなら軽めの赤ワイン
下処理の済んでいる筍をスライスして好みのオイルでソテーするだけ。シンプルな料理だからこそ、素材の筍のおいしさを存分に味わえます。シンプルな料理には、土づくりからぶどう栽培、醸造まで丁寧に混じりっ気なしに造られたオーガニックワインがピタリとはまります。素材を損ねることなく引き立てる、この季節ならではの最高のマリアージュをぜひ毎年楽しんでください。
筍の下処理はなぜ必要?
掘りたての筍はえぐみがほとんど無く、そのまま茹でるだけで美味しく食べられます。ところが時が経つにつれてえぐ味が増して不味くなってきます。これは筍にはちょっとえぐみのあるシュウ酸が含まれているのと、白い粒々状のチロシンというたんぱく質があり、このチロシンが収穫後に酸化してえぐみの強いホモゲンチジン酸に変化するためです。
スーパーに並ぶたけのこは収穫後数日経っていますから酸化が進み、このホモゲンチジン酸量が増えてえぐみが強いので、下処理でアク抜きが必要になります。
ここで登場するのが米ぬかです。米ぬかはアルカリ性でホモゲンチジン酸を中和してくれますし、米ぬかに含まれるカルシウムがシュウ酸に結合してシュウ酸カルシウムとなり茹で汁に溶け出します。茹で汁は捨てるので筍を食べても健康に害はなくなり、美味しく食べられるようになります。