パリのビストロではロワールのカベルネフランよく飲まれています。軽い食事にはぴったりの軽やかな味わいのワインが人気のようです。
カベルネフランの基本マリアージュ
カベルネフランはカベルネソーヴィニョンに似た味わいですが、草やピーマンやカシスやスミレのニュアンスがあり、またタンニンの渋味も弱めで飲みやすいのが特長です。タンク熟成のものでも肉料理とは広く合わせやすいので、普段の食卓にも使いやすいのが嬉しいところです。
オーク樽熟成させると様々な風合いと力強さが加わり、コッテリとしたソースを添えた肉料理とペアリングできます。
合わせる料理を選ぶ際は、【オーク樽熟成】と【タンク熟成】で変わるキャラクターの違いを理解しておくことが重要です。
カベルネフランってどんな品種?
カベルネフランはフランス・ボルドーのドルドーニュ川流域のリボルネ地区原産のぶどう品種です。今日最も有名な産地はロワール地方ですが、17世紀に三銃士の敵役で知られるフランスの宰相・リシュリュー枢機卿が、ボルドーからロワール川流域のブルグイユの修道院に持ち込んで栽培させたと伝えられています。
同じ頃ボルドーでは、このカベルネフランとソーヴィニョンブランの交配から、カベルネソーヴィニョンが生れました。このカベルネソーヴィニョンはフルボディーの高級ワインに向くことから、ボルドーを代表する赤ワイン品種となり、カベルネフランは影が薄くなってしまいました。
カベルネフランの樹は粘土石灰質の土壌や砂質土壌に適しており、発芽がカベルネソーヴィニョンより早く、冷涼な土地でも栽培でき、果実が小さめでぶどう房の通気性が良いため、湿度が高くても病気にかかりにくいという特長があります。畑の条件が多少悪くても栽培できることから、ボルドーよりも北のロワール地方で盛んに栽培されるようになったのです。
カベルネフランを使ったワイン
同じカベルネフランでも産地や畑の土壌、醸造方法でずいぶんと味わいが違います。特にロワールのようにカベルネフラン単一品種のワインと、ボルドーのようにブレンドに使うのでは全く違っていますので、ぜひいろいろな料理との相性をお試しください。
ロワール地方(フランス)のカベルネフラン
カベルネフランは、ロワール地方の主要赤ワイン産地のアンジュー、ブルグイユ、シノン、ソミュールシャンピニー等で広く栽培されています。
ロワール地方ではボルドーとは違い、通常カベルネフラン100%の単一品種ワインとして仕込まれます。そのためワインの性格は土壌によって変わり、石灰質に砂や小石が混じる水捌けの良い畑からはフルボディーの赤ワイン、水捌けの良くない畑からはライトボディーの赤ワインやロゼワインが造られます。
【ドメーヌ ピエール ショヴァン】
【ドメーヌ デュ モルティエ】
ボルドー地方(フランス)のカベルネフラン
20世紀初頭までは、カベルネフランはカベルネソーヴィニョンとほぼ同量栽培されていましたが、今日ではカベルネソーヴィニョンの半分以下となり、減り続けています。
ボルドーでは、カベルネフランは、メルローやカベルネソーヴィニョンとのブレンドに用いられています。柔らかなタンニンで口当たりをまろやかにして、ラズベリー、ブラックカラント、スミレの繊細なアロマを加える役割を担っています。
【シャトーセニャールドポミエ】
【シャトー ド モンバザン】
南西地方(ガスコーニュ)(フランス)のカベルネフラン
ボルドーの周辺部の南西地方のガスコーニュは、緩やかな起伏のある地勢とボルドーよりも降雨量が少ないのでぶどうを育てやすい産地ですが、土壌の水捌けが良くない畑が多く、カベルネソーヴィニョンよりもカベルネフランが栽培されています。やはりボルドー同様に他品種とのブレンドに用いられています。
【ドメーヌ ド パジョ】
カベルネフランは、フランス・ボルドーの古くから存在する重要な品種であることは間違いありませんが、近年のDNA鑑定によりスペインのバスク地方がルーツだという説が有力になってきました。自然交配によって誕生してボルドー、そしてロワールで有名になっていきましたがルーツを辿ったら、どうもバスク地方での誕生の方が早かったということのようです。
パリジャンだけでなく、日本人の味覚にも合わせやすいカベルネフラン、ぜひいろいろな料理と合わせて楽しんでみてください。


























日仏の専門家によるボジョレーヌーヴォー2025のテイスティングコメント
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