最近よく耳にするようになったジビエ、野生動物の肉料理です。フランスでは秋冬の狩猟シーズン中に出される高級食材で、力強い赤ワインと合わせるのがおすすめ。
目次
ジビエとワインの基本ペアリング
鹿肉は脂身がほとんどなく、赤身の肉で鉄分がしっかり感じられるのが特徴です。調理法にもよりますが、強すぎない赤ワインがよく合います。
一方、猪肉はウリ坊(子供のイノシシ)のように個体が若いものか、メスかオスかによっても肉質やクセ、脂肪分のつき具合なども変わってくるので、お店で食べる場合はその日の肉の状態によっておすすめのワインをいただくのが一番安心ですが、基本は赤ワインでバリエーションを考えると良いでしょう。
ジビエとは|もっと詳しく
狩猟の獲物
ジビエとは、フランス語で狩猟で仕留められた野生の動物の肉や、それを使った料理のこと。猪、鹿、うさぎ、野鳥などが一般的です。
家畜と違い、自然の中を走り飛び回っている野生動物は筋肉がしっかり締まっていて、歯ごたえがあり味わいが強いのが特徴。狩猟が解禁になる11月半ば〜3月半ばがジビエの季節で、希少性もあり、高級食材です。
日本のジビエ
日本でも古くから鹿肉、猪肉、鴨肉がよく食べられており、猪肉は牡丹鍋を筆頭にずっと人気があります。鹿肉はあまり一般的に出回っていない時期もありましたが、1990年代後半〜2000年頃から再び市場にも現れるようになってきました。
最近は真空など貯蔵の技術もよくなり、また田畑を荒らす害獣として認識されて駆除対象となってからは、狩猟期以外でも食べられるようになりました。
フランス料理ではジビエは季節のご馳走ということもあり、日本のフランス料理店などで美味しく調理された鹿肉や猪肉、野生の鴨などが人気となって、近年注目を集めています。
鹿肉に合う赤ワイン
鹿肉の調理法としては、ローストビーフのようにローストする、赤ワインなどで煮込む、脂肪分を補うためにパイで包んで焼く、竜田揚げやシンプルなソテーなどもあります。
フランスではタンニン分が強く、スパイシーで濃厚な赤ワインを合わせることが定石ですが、日本のフランス料理店の場合、肉の下処理がきちんとされていることが多く、そこまで強いクセもありません。
そこでロワールやブルゴーニュなど、一段軽めで少し酸味を感じられる赤ワインがお薦めです。もちろん、ソースが濃厚であれば濃厚な赤を合わせましょう。
猪肉に合う赤ワイン
鹿肉に比べ、脂身の味わいも楽しめるのが猪肉。猪の年齢や料理方法を選ぶと、同じ赤ワインでも軽めからフルボディーまで広く合わせられます。
若い猪肉をシンプルにローストで味わうなら
若い猪肉を塩とハーブでシンプルに焼いたものは軽めの赤でも美味しく味わえます。
トマトベースなど野菜と一緒に煮込んだ猪肉なら
トマトベースでの煮込みなどには、トマトの酸味や野菜のまろやかさを考慮しつつも、猪肉の濃厚さとも愉しめるしっかりとしたボディに酸味とのバランスの良いタイプがおすすめ。
濃厚なソースとともに脂肪分も一緒に楽しむ猪肉料理には
脂もしっかり乗ったどっしりとした肉を濃厚なソースでいただく場合は、フルボディでスパイス感もある赤ワインで存分に堪能しましょう。
いかがでしたか。ジビエは好き嫌いが分かれるものの1つですが、肉の特質を知ってそれを生かした調理をしてくれるレストランでいただくのは至福の美味しさです。苦手だった人もジビエ感が変わるかもしれません。
それに必要なのがピッタリと寄り添う美味しい赤ワイン。ちょっとハードルが高いと思われるかもしれませんが、事前にシェフと相談して、肉質や調理法に合わせてワインの濃厚さ、果実味と酸味のバランスなどを意識して、これはと思うワインを持ち込ませてもらうのがおすすめです。