日本が誇る食文化の一つ、お刺身。お刺身といえば日本酒!という方も多いと思いますが、ワインの合わせ方のコツを知っていれば、簡単にマリアージュを楽しめるお料理です。新鮮なお刺身の盛合せと、それに合うワインが揃えば、食卓が一気に華やぎます。
お刺身には主張が強すぎないワイン
刺身は、味を足して行くフランス料理とは真逆で、削ぎ落すことで成立する日本料理の真骨頂。素材の良さとそれを切る技術がすべてなので、その美味しさをダイレクトに味わうには、香りや味わいが強いワインは合いません。お刺身の繊細さや旨味が消えてしまいます。基本的には凛としてバランスがよく、フレッシュさも持ち合わせたワインがいいでしょう。食材とワインの色を合わせる色のマリアージュの法則や、部位やつける調味料によって、選択肢を広げてみましょう。
おなじ料理ですが東京では「お刺身」、京都では「お造り」と呼び名が違います。そして呼び名だけでなく、実は料理自体も少し違っています。冷蔵庫のなかった時代、東京湾が目の前に広がる江戸では生の魚の切り身を並べましたが、海から離れた京都では鮮度が落ちてもいいように塩や昆布で締めた魚の切り身を並べたのです。ということは味も香りも歯ごたえもまったく違う料理ですね。お造りの方がペアリングするワインの幅が広がります。ちょっと鮮度が落ちたスーパーの魚でも、ご家庭で薄い塩水や昆布だしに一晩漬けて味を加えれば美味しいお造りに仕立てられます。
白ワインとお刺身のマリアージュ
ヒラメやタイなどの白身魚には、酸味のキレとミネラル感があるフレッシュな白ワインがよく合います。お醤油とわさびをつけるのが一般的ですが、酸のキレがいい白ワインなら塩やレモンをつけてもペアリングできます。
樽を使ったワインは生臭さを増長させることがあるため、避ける方が無難ですが、どうしても樽香のある白ワインを合わせたい場合は、締めてお造りにするか、醤油の代わりに削りたての鰹節たっぷりと昆布の出汁で割ったつけ醤油に、必要に応じてスダチを絞り垂らすことでクリアできます。
赤ワインとお刺身のマリアージュ
マグロなどの赤身の刺身には、軽めのタンニンが少ない赤ワインが合います。ピノノワールは出汁のような風味もあり、お醤油との相性も大丈夫。またガメイは皮を焙ったカツオのたたきとのペアリングが可能です。
ロゼワインとお刺身のマリアージュ
フレッシュな辛口ロゼワインもお刺身に合います。白ワインと赤ワインの要素を持ち合わせるので、白身にも赤身にも、お醤油でも塩でも、寄り添ってくれるでしょう。サーモン、たこ、赤貝なら色もぴったり。
お刺身は同じ魚でも鮮度によって味や香りが変わってきます。状態によってはワインとのペアリングが変わってきますので、状態を見極め、魚を絞めたり、つける調味料や薬味を工夫して、ベストマリアージュを見つけましょう。