大好きな人が多いメニューの1つ、焼き肉。ワインと合わせるときは、タレの風味をヒントにするとマリアージュが決まります。
焼き肉のこと、ちょっと詳しく
贅沢な外食の定番、焼肉。「今日は焼肉だ!」と焼肉屋さんに出掛け、タレに浸した牛肉の切り身を卓上の鉄網に載せて自分で焼いて食します。直火で焙られタレと肉が焦げた匂いが舞い上がり、否応なく食欲が出ますし、ワインを飲みたくなります。
韓国に行くと焼肉は「プルコギ」、網ではなく鉄兜のような鍋で大きな肉を焼き、ハサミで切って取り分けるスタイルです。日本スタイルの、醤油、ごま油、みりん、砂糖、ニンニクなどを混ぜ合わせたタレに浸した肉の切り身を網焼きする「焼肉」は、かつては「朝鮮焼肉」と呼ばれ、朝鮮半島出身者の店が日本で始めたもの。本場の「プルコギ」と違い、精肉だけでなくホルモンも使います。そして独自に進化を続け、揺るぎないご馳走の地位を築きました。そしてその進化は今もとまらず、黒毛和牛一頭買い、希少部位や熟成肉などの高級化と、大衆居酒屋チェーンが焼肉店に衣替えするなど、「焼肉」の二極化が同時に進んでいます。
焼肉屋さんでは、肉の部位にカルビ、トウガラシ、トモバラ、ザブトン、ミスジ、カイノミ、サンカク、サンカクバラ、センボン、シンシン、チモモなどのとても日本語とは思えない隠語のような名前が使われています。最近はスーパーでもこのような肉を見かけるようになりました。普通の肉に比べるとちょっと高い、と言っても焼肉屋さんの何分の一かの値段です。どうせ自分で焼くのだし、煙の排気だけどうにかすれば自宅でも気軽に高級焼肉を楽しめますから、ぜひお好きなワインとのペアリングを楽しんでみましょう。
甘辛醤油タレで食べる焼肉とワインのマリアージュ
焼肉と言えば、醤油ベースの甘辛タレがもっとも一般的。合わせるワインはもちろん赤。ほのかな甘味を感じるような果実味の濃縮感ある赤ワインがタレの甘さにぴったり合います。果実味に加えて酸も重要です。脂身が多いお肉には、酸があるワインのほうが、脂分を程よく流してくれるので、旨みだけが口の中に残り、最後まで美味しく食事が進むでしょう。
塩で食べる焼肉とワインのマリアージュ
ファーストオーダーの定番、タン塩とレモンの組合せには、柑橘系の白ワインがおすすめです。タン以外のお肉にも、レモンを絞るような感覚で柑橘系白ワインを合わせれば、お肉の旨みをさっぱりと美味しくいただけるでしょう。
塩ダレで食べる焼肉とワインのマリアージュ
ゴマ油やニンニク等が入った塩ダレには、少し厚みのある白が合います。樽の香りの白ワインもゴマ油の風味に合うでしょう。さらにネギを加えた「ネギ塩タレ」には、ビターなニュアンスのある白ワインはいかがでしょうか。
1本で楽しむワインと焼肉のマリアージュ
味の薄いものから順に、塩→塩ダレ→甘辛ダレと食べすすめて、それぞれにワインを合わせるのがおすすめですが、食事全体を通して1本選ぶならスパークリングワインです。アツアツのお料理との相性はもちろん、サラダ、キムチ、冷麺等、少し辛味のある焼肉のサイドメニューにもぴったりです。お肉をメインに考えるなら、ロゼスパークリングもおすすめです。ハレの日の焼肉ならぜひシャンパーニュを。
ワインとの相性を知れば、焼肉の魅力はさらに広がります。定番の赤ワイン以外にも選択肢を増やして、焼肉のマリアージュを楽しんでください。