卵と牛乳、生クリームなどを合わせて作る「フラン」。フランというと、カスタードを使った甘いお菓子を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、フランスでは野菜やチーズなどを加えた総菜としての塩味のフランも親しまれています。
塩味のフランはフランス語で「flan salé(フラン・サレ)」と呼ばれ、見た目やなめらかな食感は日本の茶碗蒸しにもよく似ています。だしではなく乳製品を使い、オーブンで焼くため、茶碗蒸しよりもクリーミーでコクのある味わいです。
フラン(洋風茶碗蒸し)とワイン、基本の合わせ方
塩味のフラン・サレにワインを合わせるときは、卵のまろやかさ、乳製品のコク、そして具材の風味を意識するのがポイントです。
基本となるのは、果実味と酸のバランスがよく、香りや樽の風味が強すぎない辛口白ワイン。穏やかな酸が卵料理の繊細な味わいに寄り添い、乳製品のコクを心地よく整えてくれます。
より軽やかに楽しむなら辛口スパークリングワイン、野菜の甘味を生かしたフランには辛口ロゼも好相性です。きのこやベーコンを加えた風味の強い仕立てなら、渋みの穏やかな軽めの赤ワインも選択肢になります。
フランとは?甘いフランと塩味のフラン・サレ
「フラン(flan)」とは、卵と牛乳などを合わせ、型に入れて固めた料理の総称です。フランスでは、カスタード生地を焼いた甘いフランがよく知られています。パイ生地やタルト生地を敷いて焼く「フラン・パティシエ」は、菓子店やパン店でも親しまれている定番のお菓子です。
一方、砂糖を使わず、野菜やチーズ、ハムなどを加えて作る塩味のフランは「flan salé(フラン・サレ)」と呼ばれます。「salé」はフランス語で「塩味の」「甘くない」という意味です。英語表現の「savory flan」から、フラン・セイボリーと呼ばれることもあります。
今回ご紹介するのは、この食事向けのフラン・サレです。卵に牛乳や生クリームを合わせた生地に具材を加え、耐熱容器に入れて焼き上げます。大きな型で焼いて切り分けるほか、小さなココット型で一人分ずつ作ることもできます。
具材や作り方に幅があり、前菜、副菜、軽い昼食などさまざまな場面で楽しめる料理です。温かいままでも、少し冷ましてからでもおいしく、季節の野菜を取り入れやすいのも魅力です。
茶碗蒸しやキッシュとの違い
フラン・サレは、日本の料理にたとえると、茶碗蒸しとキッシュの中間のような料理です。なじみのない料理名ですが、「洋風茶碗蒸し」と考えると、その味わいや食感をイメージしやすいでしょう。
茶碗蒸しは卵をだしでのばし、蒸して仕上げるため、みずみずしく繊細な口当たりが特徴です。一方、フラン・サレは牛乳や生クリームを使い、オーブンで焼くことが多いため、よりクリーミーでコクのある味わいになります。
キッシュも卵と乳製品を使いますが、一般的にはパイ生地やタルト生地に卵液と具材を流し込んで焼きます。フラン・サレは生地を使わないことが多く、キッシュよりも軽やか。卵液そのもののなめらかな食感を楽しみやすい料理です。
ただし、フランやキッシュにはさまざまな作り方があり、地域や家庭、レシピによってその境界は明確でない場合もあります。
フラン・サレの代表的な具材
フラン・サレには、季節の野菜を中心にさまざまな具材が使われます。
- ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス
- ズッキーニ、トマト、パプリカ
- 長ねぎ、玉ねぎ、ポロねぎ
- マッシュルームなどのきのこ
- ハム、ベーコン、スモークサーモン
- グリュイエール、コンテ、パルメザンなどのチーズ
野菜だけなら軽やかな前菜に、チーズやハムを加えれば食べ応えのある一品になります。複数の具材を詰め込みすぎず、主役となる野菜を1~2種類に絞ると、卵生地とのバランスが取りやすく、合わせるワインも選びやすくなります。
フラン(洋風茶碗蒸し)の簡単レシピ
今回は、家庭で作りやすい、ほうれん草ときのこのフラン・サレをご紹介します。
材料(直径約8cmのココット4個分)
- 卵:2個
- 牛乳:150ml
- 生クリーム:50ml
- ほうれん草:80g
- マッシュルーム:4~5個
- 玉ねぎ:1/4個
- 粉チーズ:大さじ2
- バターまたはオリーブオイル:適量
- 塩:小さじ1/4程度
- こしょう:少々
- ナツメグ:お好みで少々
作り方
- ほうれん草は下ゆでして水気をしっかり絞り、食べやすい長さに切ります。マッシュルームと玉ねぎは薄切りにします。
- フライパンにバターまたはオリーブオイルを熱し、玉ねぎとマッシュルームを炒めます。しんなりしたら、ほうれん草を加えて軽く炒め、粗熱を取ります。
- ボウルに卵を割りほぐし、牛乳、生クリーム、粉チーズ、塩、こしょう、お好みでナツメグを加えて混ぜます。泡立てすぎないようにすると、きめ細かく仕上がります。
- 薄くバターを塗ったココットに具材を分け入れ、卵液を注ぎます。
- ココットを深さのある天板または耐熱皿に並べ、容器の高さの1/3~1/2程度まで湯を注ぎます。
- 160℃に予熱したオーブンで25~30分ほど湯煎焼きにします。中央を軽く揺らし、表面が固まりながらもわずかに揺れる程度になれば焼き上がりです。
※オーブンの機種や容器の大きさによって焼き時間は異なります。加熱しすぎると食感が固くなるため、様子を見ながら調整してください。
※生クリームを使わず、全量を牛乳にすると、より軽やかな仕上がりになります。水っぽくなりにくくなります。たっぷりの油で茄子を揚げる方法もありますが、家庭では揚げ焼きにすると作りやすくなります。
白ワインとのマリアージュ
フラン・サレに最も合わせやすいのは、口当たりがやわらかく、適度な酸を持つ辛口白ワインです。
卵と乳製品のまろやかな味わいには、繊細な果実味を持つピノ・ブランや、樽香の強すぎないシャルドネなどがよく合います。ワインの酸がクリーミーな余韻を整えながら、料理のやさしい味を覆わずに寄り添ってくれます。
ほうれん草やアスパラガス、ポロねぎなどの緑の野菜を使う場合は、爽やかな香りを持つ辛口白もおすすめ。きのこやチーズを加えたフランには、少し厚みのある白を選ぶと、料理とワインのコクが調和します。
スパークリングワインとのマリアージュ
前菜やアペリティフとしてフラン・サレを楽しむなら、辛口スパークリングワインもおすすめです。
細やかな泡と爽やかな酸が、卵や生クリームのコクをすっきりとまとめ、ふんわりとした食感を軽やかに感じさせてくれます。チーズを加えたフランや、ベーコンを使った少し塩味のあるフランにも好相性です。
野菜中心のやさしい味わいには、香りが強すぎず、果実味のきれいなタイプを。焼き色をしっかりつけたフランには、香ばしさや熟成感を少し持つスパークリングワインもよく合います。
辛口ロゼワインとのマリアージュ
トマトやパプリカ、ズッキーニなど、彩りのよい野菜を使ったフランには、辛口ロゼワインがよく合います。
ロゼのやさしい赤い果実味が野菜の甘味を引き立て、爽やかな酸が卵液のコクを軽やかにしてくれます。白ワインでは少し軽く感じ、赤ワインでは強すぎるような具材にも合わせやすいのが魅力です。
ハムやスモークサーモンを加えた仕立てにもなじみやすく、春から夏にかけて、少し冷ましたフランと楽しむのにも向いています。
軽めの赤ワインとのマリアージュ
赤ワインを合わせるなら、タンニンが少なく、果実味の軽やかなタイプを選びましょう。
きのこ、ベーコン、炒めた玉ねぎなど、旨味や香ばしさのある具材を使ったフランなら、ピノ・ノワールやガメイなどの軽めの赤ワインも楽しめます。赤い果実を思わせる風味が具材の香ばしさに寄り添い、料理にほどよい奥行きを与えてくれます。
一方、渋みや樽香が強い赤ワインは、卵の繊細な風味とぶつかりやすいため、避けたほうが無難です。赤ワインは少し冷やし、軽やかさを生かして合わせるのがおすすめです。
季節の食材で楽しむフラン・サレ
フランには、カスタードを使った甘いお菓子だけでなく、野菜やチーズなどを加えた塩味の「フラン・サレ」もあります
茶碗蒸しのようなやさしい卵料理でありながら、乳製品を使うことでキッシュにも通じるコクを楽しめるのが魅力です。
基本のマリアージュには、料理の繊細さを生かす辛口白ワインを。軽やかに楽しみたいときはスパークリングワイン、トマトなどの野菜には辛口ロゼ、きのこやベーコンには軽めの赤ワインもよく合います。
季節の食材で自由にアレンジしながら、使った具材に合わせてワインを選んでみてください。























