炭火の上で、脂ののったイワシを豪快に焼き上げる「サルディーニャス・アサーダス(Sardinhas assadas)」。ポルトガルの夏を代表する料理の一つで、香ばしく焼けた皮とふっくらとした身を、シンプルな塩味で楽しみます。
日本のイワシや秋刀魚の塩焼きにもよく似た、どこか親しみを感じる料理です。ポルトガルでは特に6月の「聖人祭」の時期に欠かせない存在で、街角に漂う炭火焼きの香りも祭りの風物詩となっています。
この記事では、サルディーニャス・アサーダスと6月のお祭りとの関係、家庭で作れる簡単なレシピ、料理に合うワインをご紹介します。
サルディーニャス・アサーダスとワイン、基本の合わせ方
サルディーニャス・アサーダスにワインを合わせるときは、次の3つを意識すると選びやすくなります。
- イワシの豊かな脂と旨味
- 炭火で焼いた皮の香ばしさ
- 塩味や、仕上げに添えるレモンの酸味
基本となるのは、フレッシュな酸を持つ辛口白ワインです。ワインの酸がイワシの脂をすっきりと整え、柑橘を搾ったときのような爽やかさを加えてくれます。
辛口スパークリングワインやロゼも好相性。炭火の香ばしさを生かしたい場合は、タンニンが穏やかで酸のある軽めの赤ワインを、少し冷やして合わせる方法もあります。
サルディーニャス・アサーダスとは
「サルディーニャス・アサーダス(Sardinhas assadas)」は、ポルトガル語で「焼いたイワシ」という意味。新鮮なイワシに粗塩を振り、炭火やグリルで丸ごと焼く、ポルトガルの素朴な家庭料理です。
味付けはごくシンプルで、イワシそのものの脂と旨味、皮の香ばしさを楽しみます。焼き上がったイワシをパンにのせ、旨味を含んだ脂をパンに染み込ませながら食べるのもポルトガルらしい楽しみ方です。
地域や家庭によって、焼いたパプリカのサラダ、ゆでたじゃがいも、トマトやレタスのサラダ、ポルトガルのコーンブレッド「ブロア」などを添えます。日本のイワシの塩焼きとよく似ていますが、炭火の香りとパンやワインを組み合わせることで、ポルトガルらしい一皿になります。
6月の聖人祭とイワシの炭火焼
ポルトガルでは、6月になると各地で「サントス・ポプラレス(Santos Populares/聖人祭)」と呼ばれるお祭りが開かれます。聖アントニオ、聖ジョアン、聖ペドロを祝う祭りで、街は色鮮やかな飾りや音楽、踊りに包まれます。
なかでも有名なのが、リスボンで6月12日から13日にかけて行われる聖アントニオ祭と、ポルトで6月23日から24日にかけて行われる聖ジョアン祭です。
祭りの夜には、古い街並みの路地や広場に炭火の焼き台が並び、イワシを焼く香りが街中に広がります。焼きたてのイワシをパンにのせ、ワイン、ビールとともに味わったりしながら、夜通し祭りを楽しみます。
初夏はイワシがおいしくなる時期でもあり、サルディーニャス・アサーダスは、ポルトガルの人々にとって6月の訪れを感じさせる季節の味。単なる魚料理ではなく、夏の始まりと街の祝祭を象徴する存在です。
サルディーニャス・アサーダスの簡単レシピ
本場では炭火で豪快に焼きますが、家庭では魚焼きグリルやバーベキューグリルでも作れます。
材料(2人分)
- 新鮮な丸イワシ:4~6尾
- 粗塩:適量
- レモン:1/2個(お好みで)
- オリーブオイル:少量(お好みで)
- パン:適量
付け合わせには、焼いたパプリカ、ゆでたじゃがいも、トマトやレタスのサラダなどがおすすめです。
作り方
- イワシは表面の水分をキッチンペーパーでよく拭きます。丸ごと焼くのが伝統的ですが、家庭では好みに応じてうろこや内臓を取り除き、水気をしっかり拭いてください。
- イワシの両面に粗塩をやや多めに振り、15~30分ほど置きます。焼く直前に、表面に出た水分を軽く拭き取ります。
- 十分に熱した炭火または魚焼きグリルにイワシを並べます。皮に香ばしい焼き色がつくまで焼き、崩さないように一度返して反対側も焼きます。
- 中まで火が通ったら器に盛ります。そのまま、またはレモンや少量のオリーブオイルを添えていただきます。
- パンを添える場合は、焼きたてのイワシをパンにのせ、脂と旨味を染み込ませて楽しみます。
※脂が落ちると煙や炎が上がりやすいため、炭火やグリルを使う際は火加減に注意してください。
※イワシは何度も返すと皮が破れやすくなります。焼き色がつくまでなるべく動かさず、返す回数を少なくするのがきれいに焼くコツです。
爽やかな白ワインとのマリアージュ
サルディーニャス・アサーダスにまず合わせたいのが、軽やかで爽やかな辛口白ワインです。
特にポルトガル北西部で造られるヴィーニョ・ヴェルデは、フレッシュな酸と軽快な飲み口が特徴。タイプによっては、舌にわずかに感じる微発泡のような刺激もあり、脂ののったイワシの後味をすっきりと整えてくれます。
レモンを添えたサルディーニャス・アサーダスには、柑橘や青い果実を思わせる白ワインが好相性。ワインの爽やかさと料理の塩味が重なり、暑い季節にも心地よく楽しめます。
ヴィーニョ・ヴェルデ以外なら、酸がきれいで樽香の強すぎない辛口白がおすすめです。炭火の香りが強い場合は、軽すぎない、少し厚みのあるタイプを選んでもよいでしょう。
辛口スパークリングワインとのマリアージュ
イワシの脂を軽やかに楽しみたいときには、辛口スパークリングワインもおすすめです。
きめ細かな泡と酸が口の中をリフレッシュし、炭火で香ばしく焼いた皮の風味を引き立てます。シンプルな塩味にもなじみやすく、屋外で楽しむバーベキューや、前菜をいくつか並べた食卓にもよく合います。
ポルトガル産なら、バイラーダなどで造られる辛口スパークリングワインも選択肢の一つ。瓶内熟成による香ばしさを持つタイプは、炭火のニュアンスとも自然に調和します。
冷やして楽しむ軽めの赤ワインとのマリアージュ
魚料理には白ワインという印象がありますが、炭火焼きのイワシには軽めの赤ワインを合わせることもできます。
選ぶポイントは、タンニンが強すぎず、みずみずしい酸を持つこと。冷やして楽しめる軽快な赤なら、イワシの脂を受け止めながら、炭火の香ばしさに奥行きを加えてくれます。
ポルトガルでは、赤のヴィーニョ・ヴェルデを焼いたイワシに合わせる組み合わせも知られています。酸が高く、軽い渋みを持つ赤をよく冷やして飲むことで、脂のある魚にも重くなりすぎずに寄り添います。
ただし、タンニンや樽香の強い赤ワインは、魚の風味を金属的または苦く感じさせることがあります。赤を選ぶ場合は、渋みが穏やかで果実味の素直なタイプがおすすめです。
シンプルさが美味しいイワシの炭火焼
サルディーニャス・アサーダスは、新鮮なイワシに粗塩を振り、炭火で香ばしく焼き上げるポルトガルの定番料理です。日本のイワシや秋刀魚の塩焼きにもよく似たシンプルな料理でありながら、パンや野菜、ワインとともに味わうことで、ポルトガルらしい食卓を楽しめます。
特に6月の聖人祭には欠かせない料理で、リスボンの聖アントニオ祭やポルトの聖ジョアン祭では、街中にイワシを焼く香りが漂います。
ワインは、爽やかな辛口白を基本に、辛口スパークリングも好相性。炭火の香ばしさを生かしたいときには、冷やした軽めの赤も試してみたい組み合わせです。
炭火やグリルで焼いたイワシとワインを囲みながら、ポルトガルの初夏のお祭り気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。





















