オイスターバーで細かい氷に載せた生牡蠣を殻から啜り、シャンパンや白ワインを合わせて愉しむ。牡蠣が好きな人にはたまらない光景です。
生牡蠣とワインの基本ペアリング
海に囲まれた日本では、天然物だけでなく、養殖も全国で行われていて、容易に新鮮な牡蠣が手に入ります。
本当に新鮮な牡蠣は海水の塩分だけで何も味を載せず、レモンも絞らずに食べるのが一番美味しいのですが、少し鮮度が落ちた時は酢やソースで味を載せることになります。合わせるワインもこれに応じて変わります。
新鮮な牡蠣なら、海に近い産地のすっきりとした酸味のキレのいい白ワイン、酢やエシャロットソースなどソースを効かせた牡蠣であれば、シャルドネなど骨格のあるワインが合います。また、キリッと辛口のスパークリングワインも好相性です。
オイスターパーティーならスパークリングワイン
オイスターパーティーで生牡蠣と合わせるなら、キリっと辛口のスパークリングワインがオススメです。スパークリングワインのミネラル感が生牡蠣の美味しさを引き出します。レモン汁を絞ると特にシャンパンがよく合います。
新鮮な生牡蠣に合う白ワイン
ソースを載せない新鮮な生かきには、海に近い産地の辛口白ワインがおすすめです。
ボルドーの辛口白ワインで有名な産地「アントル・ドゥ・メール」。意味は「二つの海の間」ですが、ボルドーを流れる大河ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた地帯です。ここから西に行くと大西洋に面した漁港の町アルカションがあり、その名産が牡蠣。アントル・ドゥ・メールの白ワインと海産物との相性はピッタリです。特にソーヴィニョングリはソースをつけない生かきとの相性が抜群。他にもすっきりした酸のキレがいい辛口白ワインがよく合います。
ボルドーの北隣、シャラント地方オレロン島も牡蠣で有名。コニャックブランデーの原料ともなるユニブランを使った白ワインは酸のキレがシャープで、生牡蠣との相性が抜群。超おすすめです。
モーパッサンの小説「Mon oncle Jules」(私の叔父さん、1883年刊)では、アメリカに渡って成功したはずの叔父のジュールが落ちぶれて、英仏海峡のジャージー島へ渡る港で生カキの殻を剥いて売っているシーンがあります。岸壁や岩場にいくらでもある牡蠣を、パリからの旅行者たちが大喜びで買い求めて食べていた情景が描かれています。
冷蔵庫の無かった19世紀、パリでは鮮度が落ちても食べられるように、レモン汁やエシャロットソース等を添えるしかなかったのです。食材が豊富な地中海岸から遠く離れた北の大都会、パリで発展したフランス料理の成立ちを考えると当然ですが、鮮度が低い食材を工夫して使うことが料理。何も足さずに美味しい、新鮮な生カキは海岸でなければ味わえない、とても贅沢なものだったのです。
ソースや酢を載せた生かきに合う白ワイン
鮮度が少し気になる時は、生かきにエシャロットソースやタバスコ、ウースターソースなどを載せて味と香りを付ければ美味しく食べられます。この場合はシャルドネなどしっかりとした白ワインがよく合います。
ソーセージと生カキに合う赤ワイン
フランス南西部では生カキと一緒にソーセージを食べる習慣があります。その際は、刻んだエシャロットに赤ワインビネガーを加えたタレを添えていただきます。現地では、軽めの赤ワインと一緒に楽しみます。エシャロットのピリっとした感じと生カキの旨味、合間につまむソーセージの味わいが軽めの赤ワインとうまく調和します。
よく「カキにはシャブリ」といわれますが、わざわざ内陸産地のシャブリを選ばなくても、牡蠣の鮮度に応じてもっと美味しいワインの合わせ方もあります。ぜひいろいろな産地のワインと一緒に楽しんでみてください。