特別な席の中華料理の1つ北京ダック。薄い皮にパリッと焼けた丸焼きにされたアヒルの皮とネギなどの薬味、そして甜麺醤のソースでいただく料理です。ロゼワインを筆頭に、この料理の持つさまざまな特徴とともに合うワインをご紹介します。
北京ダックとは
北京ダック(北京烤鴨)と言えば中華料理の中でもフカヒレやツバメの巣等と並ぶ贅沢なご馳走。宮廷料理から発し、現在は世界中の中華料理店で提供される花形の一品です。調味したアヒルを丸ごと炉で焼いたもので、日本では薄く削いだアヒルの皮とネギやきゅうりの千切りに甜面醤ソースを、小麦粉を薄く延ばして蒸しあげた皮に巻いて、と食べるのが一般的です。
中華料理のコースは、フランス料理とは違い、大皿でたくさんの皿数が出ます。そのため白ワインに始まり赤ワインに繋ぐというフレンチの基本は当てはまりません。そこで1本のワインで済ませる場合は、赤白両方の要素を持つロゼワインを合わせることが無難ですが、大人数で食卓を囲む場合はロゼワインだけでなく、赤ワインや白ワインを卓上に並べて、料理に合ったワインとのペアリングを楽しむのがおすすめです。
一方本場中国の専門店では、1羽とか半羽と注文して、まずこの皮の薄切りを前菜、肉の部分を野菜と炒めてメイン、残ったガラをスープにしてコース仕立て「全鴨席」で食べることが一般的です。日本でも最近はこの形で提供するお店も出てきました。店にとっても材料を無駄なく使えるため北京ダック単品よりもぐっとリーズナブル、コスパのいい食べ方です。
白ワインと北京ダックのマリアージュ
北京ダックアヒルの皮や甜面醤ソースに感じられる中華特有のスパイスの香りが強く、一般的な白ワインは寄り添いにくく、またオーク樽の香りも喧嘩しがちなのでおすすめできません。ただシチリアのグリッロは、紹興酒に引けを取らないペアリングを楽しめます。「全鴨席」の場合、鴨肉のメイン皿にも完全にペアリングできます。また、フカヒレとの相性もいいので、北京ダックとフカヒレを含むコース料理の場合もおすすめです。
ロゼワインと北京ダックのマリアージュ
アヒルの皮やソースに感じられる中華特有の八角や五香粉のようなスパイスの香りはロゼワインに合います。淡いロゼワインよりも、コクのある濃いロゼワインの方がより北京ダックの複雑な美味しさを受け止めてくれるでしょう。
赤ワインと北京ダックのマリアージュ
アヒルの皮の香ばしい味わいや、甜面醤の持つ土のような風味には、ほんのり木樽の風味を感じさせる赤ワインも合います。重過ぎる赤ワインだとネギやキュウリとは合わないので、まろやかな味わいの赤ワインがおすすめです。「全鴨席」の場合も、まろやかな果実味のある赤ワインなら、鴨肉のメイン皿にも完全にペアリングできます。
シェリータイプと北京ダックのマリアージュ
中華料理に合うお酒といえば紹興酒ですが、ワインの中でも紹興酒に似た風味を持つのがシェリータイプの辛口ワイン。ナッツやアーモンド等のシェリー特有の味わいは、中華特有の香りや甜面醤の甘さに同調してくれます。
いかがでしたか。北京ダックはワインと同調する要素をいくつも持ち合わせているので、ぜひワインと楽しんでみてください。